債権」にはどんな種類がある? 債権の分類法と種類
債権にはさまざまな種類があり、分類する方法や債権の目的によっても多数に分かれます。
掛取引を行う際は、これらの債権について詳しく知っておかなければなりません。
ここでは、債権の概要と種類についてご紹介します。
債権とは?
債権者が特定の債務者に対して、一定の給付を要求できる権利を「債権」といいます。
給付は見る側によって呼び方が異なり、債権者側から見た“給付をもらう権利”を「債権」、“給付を行う義務”を「債務」となります。
発生原因による分類
現在の日本の民法では、発生原因の分類として契約・事務管理・不当利得・不法行為の4つで規定しています。
当事者同士での合意によって成り立つ債権を「約定債権」といい、契約によって発生する債権はこれに属しています。
また、法律の規定によって発生する債権を「法定債権」といい、事務管理・不当管理・不法行為による債権がこれにあたります。
債権の目的による分類
債権の目的(対象)は債務者の特定の行為を指します。
給付の内容によって債権を種別することができます。
■特定物債権と種類債権
・特定物債権とは
例えば、土地や中古品など、物の個性を重視した特定物の給付を内容としている債権のこと。
・種類債権とは
例えば、タール2000tの引き渡し債務などのように、目的物を種類や数量だけで指示した債権のことを種類債権と言います。
また、目的物の範囲に“限定がある”種類債権を制限種類債権と呼びます。
これは、A社の“B倉庫にある”タールなどと買う場所を特定した場合、その場所に在庫がなければ履行不能になる場合がある債務です。
特定物債権は、土地や建物など他に替えることのできない特定物であるものに対し、種類債権または制限種類債権は、特定の場所にとらわれず、契約された数量を用意できればよい債権だという違いがあります。
■金銭債権と利息債権
・金銭債権とは
一定額の金銭の給付を目的とする債権のことで、代金債権・賃金債権など、実際の取引における大部分の金額債権がこれにあたります。
特殊なものに、金種債権と呼ばれるものがあります。これには、相対的金種債権と絶対的金種債権の2つがありいずれも金銭債権とは法的な扱いが異なることがあります。
相対的金種債権……一定額を特定の種類の通貨で給付することを目的とする債権
絶対的金銭債権……収集の目的などで、特定の種類の金銭(骨董的価値のある貨幣・記念的貨幣)の給付を目的としている債権
・利息債権とは
利息の支払いを目的とする債権のことで、利息請求権ともいいます。
利息とは元本から発生する収益として、一定の利率によって元本と期間に比例して支払われる金銭、または他代替物を指します。
利息債権には、基本権である利息債権と、支分権にあたる利息債権に区別されます。
■選択債権
・選択債権とは
債権の目的が数個の給付の中から選択することができる債権をいいます。
例えば「A家屋又はB家屋を贈与する」といった場合に、債権者はAかBのどちらかを選ぶことができます。
選択債権では、特定的なものだけでなく、種類的なものでもよいとされています。選択債権では種類債権と同様に履行される場合があるということです。
ここでは、実に多様にある債権のなかから一般的なものを一部抜き出し、ご紹介しました。
これらの債権の名前と特性が、売買や掛取引を行う際に重要な基礎知識となるでしょう。
ぜひとも覚えてくことが大切です。