債権回収の最終手段、「民事訴訟」をする上での知識
債権回収の最終手段、「民事訴訟」をする上での知識
債権回収の相手がどうしても支払いに応じてくれない場合、“最終手段”として用意されているのが「民事訴訟」です。
ここでは民事訴訟の仕組みや、民事訴訟をする上で知っておきたい知識についてご紹介していきます。
債権回収の最終手段となる「民事訴訟」
相手方と話し合いによる解決が不可能な場合、民事訴訟を提起して、債権回収を図る必要があります。
民事訴訟を提起すると裁判所が、当事者双方の主張を聞き、証拠に照らし合わせて、“判決”を下します。
ただし、民事訴訟を提起したとしても、判決までもつれることは稀であり、訴訟の途中で、当事者双方が互譲し、和解により決着をつけることが大半です。
裁判所の判決は、原則として、判決が相手方に送達されて2週間経過すると「確定」し、差し押さえなどといった強制執行を申し立てることが可能となります。
なお、判決に「仮執行宣言」が付された場合、判決の確定を待たずに、相手方に判決が送達されれば直ちに、強制執行を申し立てることが可能となります。
また、裁判上の和解についても、相手方が和解の際に約束した支払いなどを守らない場合、和解調書に基づいて強制執行が可能となります。
なお、債権回収の場合は債務者側に落ち度がある場合が多く、債務者側にそれを覆すような目立った問題がなければ、多くの場合勝訴判決を取得できることが可能ですし、和解をするにしても、有利な条件で和解に持ち込むことが可能です。
民事訴訟におけるリスク
民事訴訟を行う事で債権回収ができる確率は大きくアップする訳ですが、同時に民事訴訟にはいくつかのリスクが存在します。
・時間が掛かる場合があります
民事訴訟は他の債権回収方法に比べて、手続きから判決まで多くの時間を要する場合があります。
債権者側に落ち度があり言い争いが長引くと、半年~1年ほどの時間を要すこともあります。
しかし、相手方の対応次第では、かえって、民事訴訟を提起した方が早期解決につながる場合もありますので、一概に時間が掛かるとまではいいきれません。
この点は、弁護士とよく相談することをお勧めします。
・費用が掛かります
民事訴訟は他の債権回収方法に比べて、最も費用が掛かります。
民事訴訟は、裁判所という公的機関を利用する手続きなので、弁護士費用の他、実費として、裁判所に納める印紙代、郵便切手代が掛かります。
印紙代の額は、請求額に応じて決められており、請求額が高額となれば、それだけ多くの印紙代を納める必要があります。
・相手との関係を悪化させる可能性があります
民事訴訟は相手を“訴える”事となるので、相手側に極めて強い印象を与え、お互いの関係を悪化させてしまう可能性があります。
それが原因で相手の関連会社や親会社との関係も悪化し、仕事が減るといった自身の首を絞めることにつながる可能性もありますので注意が必要です。
民事訴訟は強力な手段ですが、以上のようなリスクも秘めています。
民事訴訟はどうしても相手が支払いに応じてくれない場合は、有難い救済方法となりますが、ご紹介した通りリスクも同時に負う事となります。
その点を十分頭に入れた上で、民事訴訟に進むかを検討してみてください。