どう違う? 弁護士と債権回収会社の相違点について
従来の債権回収
法人や金融機関などが売掛金や貸付金といった債権を、買主や債務者といった相手方から回収しようとする場合、従来は顧問弁護士に債権回収を依頼する場合がほとんどで、自力で回収に動く場合は極めて稀でした。
それは、債権回収には時間と労力、法的知識を要するからです。
弁護士は法律の専門家であり、また、他人の債権の回収業務を生業として行える唯一の存在だったからです。
しかし、最近になり債権回収業者が弁護士と同じように債権回収業務を行えるようになりました。
この弁護士による債権回収と、債権回収会社との違いはどこにあるのでしょうか?
債権回収会社について
平成11年2月1日に「債権管理回収業に関する特別措置法」が施工され、法務大臣による許可を受けた民間の債権回収業者が、弁護士法の特例として債権回収の業務を行えるようになりました。
これにより、銀行を中心とする金融業界の会社が債権回収会社(通称:サービサー)を設立し、自らの債権や他の金融機関、一般の法人から安価で買い取った債権を、債権回収会社に回収させています。
金融業界以外の会社が債権回収会社を設立することも可能ですが、法務大臣による許可が必要であり、認可の条件も細かく法令で定められているため、異業種からの参入はなかなか難しいのが現状です。
弁護士との業務との相違点
1.回収できる債権の制限
債権管理会社が取り扱える債権は、原則として、特定の債権に限られます。
たとえば、金融機関等が有する貸付債権、リース・クレジット債権、資産の流動化に関する債権などです(債権管理回収業に関する特別措置法第2条)。
他方、弁護士には、そのような制限はなく、全ての債権の回収代行が可能です。
2.依頼者の制限
債権管理会社は、基本的には、銀行や保証会社などの金融関係を主とした法人からの依頼しか受け付けません。
他方、弁護士は、法人、個人を問わず、誰からの依頼でも受けることができます。
3.債権回収の方法
債権管理会社は、依頼者の債権を買い取り、債務者から債権を回収することを業務とするのが一般的です。
勿論、満額で買い取りをしてもらえるわけではありません。
債権管理会社独自の基準により、買取価格は決められているようです。
他方、弁護士は、依頼者から債権を買い取るのではなく、依頼者の代理人として、債務者から債権を回収します。
債権回収会社の業務は、弁護士と同等の正確性や透明性、公平性が求められるため、法務大臣による許可制及び、債権回収業務に関する詳細な法規による義務があります。
これらのハードルをクリアして債権回収会社を運営するには、多大な労力が必要なのです。